90歳でなくなった私の祖父は、生涯賃貸暮らしをしていた。祖父が亡くなって祖母一人になった時、祖母の娘と一緒に住むことが決まり、その時初めて祖母は中古のマンションを娘と一緒に買ったのだが、祖父の存命中、何度となく、不動産を買うように勧めたのだという。

ムービー:文化財(建造物)—京都大学

それを聞き入れず生涯賃貸暮らしだった祖父の真意はわからないが、祖父の死後、中古だがやっとマンションを買えた祖母は安心したことだろう。明るくて豪快で人望もある祖父だったが、不動産のひとつも残してくれなかったということだけが、祖母には不満だったようだ。



その祖母もその後亡くなり、最後まで面倒を見た娘がそのままマンションを引き継いだ。購入した中古マンションは相当古かったが、駅のすぐ上で通勤、通学に超便利。駅前、というか駅上なので、買い物も便利で、自動車を保有していなくても十分に暮らしていける立地であった。駅そばなのでむしろ駐車場の賃料が高く、祖母の死後、車椅子の祖母を送迎する必要がなくなったからと、自動車も早々に手放した。

鎌倉市/景観重要建築物等

祖父のマネをするわけではないが、私は生涯賃貸暮らしがいいのではないかと思っている。状況に合わせて築浅の物件を住み歩く方が、気ままだし性に合っていると思う。豪快だった祖父も、気ままに住み替えているのが性に合っていたのかもしれない。